行って来ました。詳細は下記の通り。
«東山桜荘子 佐倉義民伝»
義民伝代表格。下総(現千葉県北部)では、凶作にも関わらず年貢が上がり農民は疲弊した。 下総佐倉の名手である宗吾 はそういった状況を憂い、江戸へ出てご法度である将軍への直訴を決意する。今回は江戸で領主である堀田家への上訴に失敗し、将軍への直訴を決意した木内宗吾が家族へ別れを告げに下総の家へと戻る場面から。
序幕 第一場 印旛沼渡し小屋の場
雪が降りしきる下総国印旛沼渡し小屋。日暮れ後木内宗吾(松本幸四郎)が現れます。帰宅するために、渡し舟を出してもらおうとするのですが渡守に夜間の渡しは禁じられている(取締は宗吾を捕まえるためのもの)と断られます。それでもしつこく頼み込む宗吾に折れ小屋から出てきた渡し守は旧知の甚兵衛(市川左團次)。宗吾の決意に心動かされた甚兵衛は自ら封印を解き、宗吾を乗せ船を出すのでした。
序幕 第二場 木内宗吾内の場
宗吾が帰ると、女房のおさん(中村福助)と長男彦七(松本金太郎)を始め子供たち4人が驚きながらも喜びます。つかの間の団欒を楽しむ宗吾ですが、ならず者の幻の長吉(中村梅玉)が表れ代官所へと突き出すと脅します。しかしすぐに長吉追う捕手が現れ宗吾の家を出ていきますが、ゆっくりはできないと宗吾すぐに江戸へ戻る準備をします。
そこへ宗吾がひそかに残した離縁状を見つけたおさんが血相を変え飛び出してきます。宗吾が将軍へ直訴すれば害は自分の家族にまで及ぶためのものであり理解するようにおさんを説得しますが、おさんは最後まで夫婦でいたいとすがりつきます。それを聞いた宗吾は離縁状を破りすがりつく子たちを振り払って家を後にします。
序幕 第三場 木内宗吾内裏手の場
二幕目 東叡山直訴の場
桜が咲き乱れる東叡山寛永寺。厳しい警護の中参詣に現れた徳川家綱(市川染五郎)に宗吾は直訴状を将軍に差し出します。
老中松平伊豆守(坂東彦三郎)は、受け取った直訴状を読み上げます。口では不届き至極と言って、包み紙は捨ててしまいますが、直訴状自体は懐に入れます。
宗吾は、その様子を見届け追手の縄にかかるのでした。
<追記>
劇はここで終わりですがその後を追記すると、結果直訴は聞き遂げられて3年間の課税免除処分になりました。しかし宗吾の直訴への罪が許されることはなく、夫婦子供全員が極刑に処せられた。堀田家は数年後没落し宗吾のたたりと噂されたそうです。
<感想>
渡しの場面から劇全体が暗く、悲しい雰囲気の漂う演目でした。直訴の場では寛永寺のセットや将軍老中の着物といい舞台全体が華やかで色彩的になり、直訴を果たした宗吾も晴れ晴れとさわやかに終わりましたが、市川染五郎の演じる徳川家綱や老中たちの権威的な態度とそれに立ち向かう農民たちの声を代弁する宗吾の姿を見て、封建社会への反抗的な動機から作られた演目なのかなと思いました。宗吾の子役である小さなこどもたちがうたう台詞はとても印象に残りました。観客の人も応援している雰囲気が伝わってきて暗い中でも和みました。実際に泣いているひともいましたが、そこまでいくにはあらかじめ予習しないとわかりづらい構成になってしまっていたのかなと思います。
«唐相撲»
唐の皇帝に気に入られ滞在していた日本の相撲取りは故郷が恋しくなり暇乞いをします。皇帝は最期に相撲を見せてくれるよう相撲取りに頼みます。相撲取りは唐の官人たちを次々と投げ飛ばし、舞を披露し、最期は皇帝を投げ飛ばしてみやげと共に意気揚々と帰国していくのでした。
<感想>
ストーリーは先に書いたまんま。「キャイーン」「ラブ注入」「チャーシューメン、ワンタンメン、アワセテチャーシューワンタンメン!」などなど寒い演出が多々あったが、歌舞伎の印象が大きく変わった。先の佐倉義民伝の重たい空気もすっきり消え、竹本、長唄の音楽もテンポがよく中国風の楽器がガンヤガンヤと賑やかな舞台でした。
«小さん金五郎»
舞台は、江戸時代の大坂安井。髪結の金屋橋の金五郎(中村梅玉)と芸妓額の小さん(中村時蔵)が協力し、芸妓大村屋お糸に入れ揚げ勘当された木津屋の若旦那六三郎を助けて、千草屋娘お崎(尾上右近)と添い遂げさせてあげようとするのが物語の本骨。
最終的には金五郎と小さんは親が決めた許婚であることを知って喜んで夫婦になることを決め、芸妓大村屋お糸(中村梅枝)は六三郎をお崎にゆずり、お糸自身は広瀬屋の若旦那新十郎(市川團蔵)と結ばれてめでたしめでたし。
<感想>
人間関係が複雑で何回か整理してやっとわかりましたが、それでもそれぞれのキャラが魅力的で飽きませんでした。特に金五郎に片思いする女髪結お鶴(片岡秀太郎)。劇の終わりにめでたく万事解決、三組相合傘ができあがった周りをぼろぼろのお鶴がうろつきまわっている姿は面白く拝見しました。調べてみたら70を超える大ベテランの俳優さんと知り納得。終劇間際金五郎と小さんが取り組み互いが許嫁であるとわかる場面も日本傘と舞台の色彩が鮮やかでとても印象に残りました。
<まとめ>
改めて恐ろしい人数のプロや裏手が関わっているんだなぁと舞台を観て実感。前回値段が高くて敷居が高くなってるなんて書いたけど4時間あれだけの芸を見せてもらってこの値段なら安いと思います。
知れば知るほど知りたくなる。楽しいなあ。
最期に今日付き合ってくれた皆ありがとう。茶碗蒸しをロワイヤルと呼ぶようなお店でお酒を飲むよりはなめろうなめたいと思った贅沢な土曜日でした。